「磁器」である有田焼きは「陶器」に比べて製作工程が多く、時間がかかります。
ちなみに、私が製造の全工程を知った時の感想は・・・
え!
そんなに工程があって、順番とか間違わないの!?
だって、私が最初にイメージしていたものは・・・
土をこねて形を作ったら絵をかく。その上に釉薬(上薬)をかけて、焼いたら出来上がり★
というものでした。
全然違う・・・。
という訳で、工程をお教えしましょう。
但し、とっても長い。
頑張って読んでください!
・・・(書いてみました)
長くて読みたくなくなったので、先に言いたいことを言うことにしました。
焼き物は・・
●「磁器」作りは「陶器」より工程が多く、時間がかかる!(磁器と陶器の違いはこちら)
●絵は描き直しができない!一回限りの真剣勝負!
●約1日かけて焼き、約1日かけて冷ます。しかも最低でも3回繰返す。
●初期投資がかかる!(窯、型、スペースの確保、工具もろもろ)
●歩留まりが悪い。(壊れやすい、傷が入り易い)
●とにかく重い!(器、型、粘土、煉瓦など)
・・・(私の)想像をはるかに超えて手間と時間がかかっていました。
こんなに手間がかかる焼き物は一人では作ることはできません。地域全体が産業クラスターとなってお互いに強い相関関係/信頼関係を築くことで、やっと一つの器が完成し、焼き物に携わる人々の暮らしが成り立っているのです。
今は20年前の8分の1の産業規模になってしまいましたが・・・
こっちも長くなってしまいました。
では、もっと長い、有田焼ができるまでの工程は以下をクリックしたご覧くださいませ。
有田焼きができるまで
- 砕石
山から「石」(陶石:とうせき)を掘り出します。有田では泉山(いずみやま)のものが使われていましたが、現在は、天草の陶石が使われています。昔は、もちろん「人力」で。今はもちろん重機を使います。 - 粉砕
陶石は、何種類かの機械に分けてサラサラの粉末状にします。この作業は「ゆっくりと長い時間」を要します。急激に粉砕すると、陶石が熱を持ち、成形する時に必要な粘り気を失ってしまうからです。 - すいひ(水簸)
粉末状になった陶石を水槽に入れて、よくかき混ぜます。沈殿する不純物と上澄みとを分離させ、上澄みだけを別の水槽にいれ、、を「繰り返して」「どろどろの陶石」を造ります。 - 製土
「どろどろの陶石」をフィルタープレスという機械に入れ、圧縮。余分な水分が除かれた陶土が完成します。 - 土こね
陶土を「よーく」こねます。陶土にむらがあったり、空気の泡があったりすると、焼成の際の割れや、歪みの原因となるからです。 - 成形
いくつは方法があり、代表的なものは<ロクロ><手造り><型><いこみ>などです。成形されたものは素地(きじ)と呼ばれます。「素地は大変脆く、生卵を扱うように慎重に」触れないと、すぐに割れたり欠けたりしてしまいます。 - 乾燥
成形した素地を乾燥させます。温室のような空間に入れ、ガスで温めます。(焼くわけではありません) - 削り
乾燥した素地に「ふち」や裏の「高台」などの形を整えるために削ります。 - 水ふき
湿ったスポンジで、削った素地の表面を滑らかにします。水を使うため、「冬は寒い」・・・。 - 素焼き(焼き)
やっと焼き物らしい工程「焼き」が登場!窯入は、燃料効率をよくするために「めいっぱい」商品をいれて約900度の低温で焼きます。 - 下絵付
器に「呉須:ごす」という青色の絵の具で描きます。これは「染付:そめつけ」と呼ばれます。書き方の手法には名前があり<線描き><濃み(だみ)><転写><判><吹き>などがあります。ちなみに「線書き」は男性、「濃み」は女性の仕事になっており(今も!)、有田焼が分業であることがよくわかります。 - 釉薬
桶などに入れた釉薬に器を「どぼん」とくぐらせます。ガラスコーティングするイメージかと。この状態のまま焼いてしまうと「釉薬と棚板がくっついて外れなくなる」ため、高台(底)についている釉薬(棚板と触れる部分)を「スポンジで拭き取り」ます。焼き物の裏に釉薬がかかっていないのは、ここに理由があります。 - 窯積み
テトリスの要領で、大小を組み合わせて、窯の横幅、縦の高さにめいっぱい収まるように製品を詰め込みます。 - 本焼(焼き)
「1300度」ほどの高温で「約16時間」かけて「酸欠状態」で焼く。高温と酸欠がキーワードです。理論はご自身で調べていただくとして、こうすることで「白」もしくは「薄い水色」になり、固く焼き締められガラス化します。 - 赤絵付
白磁(染付)の完成!ですが、赤・緑・黄・金などの色をつけたい場合は、更に絵付けをします。「赤絵」とか「染錦」とか呼ばれます。「色数」に応じて15と16の工程を何度も繰りかえすのです・・・。 - 赤絵窯(焼き)
赤絵付で施した絵具の定着するために赤絵窯という専用の窯で700~800度の低温度で焼きます。 - 完成
やっと完成!でも、窯をあけてみるまでは、うまく焼けているかどうか解らないミステリー。急いで開けてしまうと温度差で「ピシーッ」と、全ての器にヒビが入ることも!!!! - 検品
ヒビや割れだけではなく、焼き物にホコリがついて出来てしまった黒い点(ほくろと言われています)ができてしまった焼き物を除外します。 - 納品
高台のザラザラを削ったり、拭いたりして、ようやく納品。
長文お疲れさまでした・・。
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