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有田焼きが一目おかれる理由。

・・・ごっつい焼き物!

ではなく、これは焼き物を成形するための「型」

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窯元に行くと、「型」は白いタワーのように林立しているか、チーズのように棚に鎮座しています。 すごい圧倒感です! 最初に見た時は、てっきり焼き物かと思いました。 だって白いし、焼く前の素地にそっくりなんですもの。

ところで焼き物って色々な形があります。

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「どびん」とかってどうやって作るんでしょうか?このお茶をそそぐ細い口の部分。 細長い筒を作り、割り箸のようなもので中をくりぬくのだろう・・と思っていました、半年前まで。

それから、丸くないお皿。 これは、どうやって作るんでしょうか? クッキー型のようなもので抜くのでしょうか・・・??。

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という勝手な妄想が山のようにある状況で窯元に行くのだから、その真実を知った時のギャップが楽しくて「へーへー」といちいち感動してしまう。窯元さんも、そんな反応が面白くて、色々教えてくれるんだと思います。

話は脱線しますが、窯元見学で「へーへーコミュニケーション」になれば更に面白い展開になります。 職人さんは自分たちの仕事を感動してもらえると、うれしくなって更に色々なことを教えてくれたり、案内してくれたりします(忙しい時はこの限りではありません)。ここで得た知見は器に関わる日常的なものですし、今をときめく有田焼きのことなので、きっとどこかで役に立つと思います。メモなんか取ってくれたりしたら、アナタはその職人さんにとって想い出に残る人物になること間違いありません。

閑話休題

という訳で、今回は四角型などの変形型を作る「型打ち成形」について一筆。冒頭にあげた土瓶は2)の「鋳込み成形」という方法で作ります。詳しくはまたどこかで説明します。

1)型打ち成形(伝統製法で少量生産向き)
2)鋳込み成形(大量生産向き)

まずは完成品。丸くないのでロクロは一切使えません。オール手作り。

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右向きの鯛

この魚を成形した「型」がこちら。(完成時に反転するので「型」は左向きになります。)

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まず陶土を平たく伸ばして・・・

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「型」に押し付けて、端をカットしたら完成!

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と簡単に書きましたが、手で厚さを均一にして、端をきれいに整えるなど、技術と手間をかけて作陶されます。また、乾燥途中でヒビが入ることも多々あり歩留まりも悪い。そのため、少量だったり型が重くなるような大物以外は、殆ど「鋳込み成形」で作られます。よって、今では「型打ち成形」をされている窯元さんは少なくなっています。

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ちなみにこれは江戸時代から伝わる梶謙製磁社の家宝の「型」。一般通念によれば魚の頭は「左」に向けるものとされていますが、当時の職人さんは遊び心を発揮し、右肩あがり=縁起がよくなるように、と敢えて右向きになるように作りました。かなりのお気に入りだったようで、6㌢から36㌢まで3㌢刻みで16個ものサイズが揃っております。

型やナカダチはその窯元にとっては意匠であり、特に江戸時代から続くものであれば家宝でしょう。ナカダチの時にも書きましたが、こうしたものに出会えるのが老舗とお仕事をする醍醐味であり、役得です。

ちょっと話しは長くなってしまいますが、最後に一つだけ。
最後と言うわりにこれが有田焼きが一部の方に一目置かれる理由かもしれません。
有田焼は今も昔も、高級料亭や旅館の需要が多い焼き物です。その理由のひとつは「いつでも同じものを作ることができる」があります。

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ある旅館で、”10年前”に買った”煮物碗”の”蓋”だけが割れたとします。

旅館:こんちはー。◯◯旅館です。歌舞伎柄の蓋物の「蓋」だけ1つくださいな。
窯元:何年前に購入されましたか?
旅館:んー。多分10年前かな?
窯元:(探しにいく・・)ありました〜。じゃ、1ヶ月後に収めます。

若干のデフォルメはありますが、こんな感じです。有田焼は「型」が残されているので、一度買えば、いつでも同じものが追加できるのです。

これは、旅館としては助かります。 だってたった一つが割れたり、欠けたりするたびに全部を買い直すのは金銭的に大変ですから。このシステムのおかげで旅館はいつまでも同じ食器を使い続けることができるのです。

しかし、その一方で、窯元には半永久的に「型」は残り、種類が増えれば、一挙に20〜100個がどどんと増えるのです。場所問題、管理問題など 有田焼がビジネスとして「大変」な理由はここにもあるのかもしれませんが、ここでは言及しないことにします。

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