これが地方というものなんだ・・・。
経営者は孤独なものだと思います。でも、特に有田のような伝統と歴史を守ってきた土地は、より孤独感に陥りやすい方も多いのかもしれません。

表通りを一歩入ったところにある「トンバイ塀」通り。昔はここを荷車が藁で包まれた山盛りの有田焼を載せて走っていました。
有田では月に1〜2回、夜20時から22時まで、時には24時まで「寺子屋」と称し、窯元さんを集めた勉強会をしています。
窯元さんがPCの前に座る時間はわずか。
朝から晩まで、あっちにバタバタこっちにバタバタ。メールの返事や経理作業はまとめて夜中に。休みは疲れ切って寝るだけ・・・。家族経営的な企業はほとんど同じでしょうけど。
だから、私がこれやってきてくださいね。と、言っても、
ヤッツケ!?ヾ(`Д´*)ノ
と思うものを持ってきたり。
当たり前ですが、いろいろな人がいて、歴史が好きな人もいれば、化学に詳しくて、数学が得意な人もいる。苦手な人もいます(私)。
ある日、原価計算をやらないAさんの所で、仕方ないなぁーと原価計算表をエクセルで作っていました。するとAさんは原価計算のお作法についていろいろご指南してくれました。
む?こりゃ、私じゃなくて、Aさんが教えるべきでは?と。
ちなみに「半学半教」という言葉があります。
“半学半教”とは、教える者と学ぶ者の分を定めず、相互に教え合い学び合う仕組みを言います。慶應義塾では、教員と塾生の別なく、先輩と後輩の別なく、率直に学び合い、自由闊達に意見を述べ合う気風が尊重されています。
詳しくはこちら。
この言葉を知ったのは、私が16年勤めたHP社を辞めて大学に行こうと決めつつも、どこに行こうか迷っていた時。当時の上司曰く、
南雲は、慶應に向いていると思うよ。
はっ?
なぜに?(´・_・`)
すると・・
慶應大学には「半学半教」という理念があり、HP社での経験は、リアルなIT企業を知らない方にとって、価値ある”経験知識”として、活かせるだろうと。会社を辞めてまで行くのだから、そんな価値がある大学にいってみたら、と。
突如、ノーザンギョウのガリ勉女に変身して、SFC(湘南藤沢キャンパス)を受験し合格。
全くもってどーでもいい話ですが、前職の社長曰く、あそこの大学には宇宙人がいっぱいいる・・・そうです。(。-_-。)
SFCでは、同級生や先生から「ナグモ」と呼び捨てにされつつ、お互い持っているものを出し合いながら学び合いました。ゼミや教室、時には江ノ島海岸で花火なんかしながら、経営の話やこれからの日本の未来とかを語っていました。
これを有田でやってみよう、と。
みんなに来て欲しかったので開催は夜。会話のお供にはお茶とお菓子。お互い面識がない人たちだから、畳にちゃぶ台で、膝と肘がつく位の距離感で。でも、やる内容は経営やマーケティングの「硬い話」。
初回は夜の12時に終了。
今日はオシマイです。と言ったのに、なかなか帰らない、、
お互いにメアド交換をしてたり、なにやら去りがたい雰囲気。
2回目の時に「この前は楽しかったですね!」と言い合っているので、聞くと、みんなで、Aさんの工場見学にいったとのこと。んで、そのあとは、女性陣だけで食事会だったそうです。
、、奥様会! ♪(´ε` )
また、ある時に、Bさんのところにいったら、社長がどなたかとお電話中。聞こえてきたのは・・
Aさん(寺子屋メンバーの窯元さん)、■■■は、経費にいれたほうがいいと思うけど、どう思う?僕はさ・・・あああ、なるほどね。そんな考え方もありだよね。うんうん・・。
!
窯元さん同士で、相談しあっている。
ある日の寺子屋では、商標をまだとっていないAさんに向かって全員が「商標は早くとらなきゃ!!」。慌てるAさんをみて、
私がガミガミ言うより刺さっている(´・_・`)
また、ある時、なぜか全員、有田にいなかったことがありました。どうしたのかと思ったら、全員(と言っても、夫婦どちらかですが)で、車1台でセミナー参加。その様子はまるで「大人の遠足」(笑)たぶん、お菓子とか車内で食べていますよ・・・。笑
でも・・・
この寺子屋をやった理由は、もう一つあります。
それは、私はやがて有田から去る人だから。
有田は400年の歴史があり、格式がある技術と伝統を”守って”きました。人によっては問題を一人で抱えてしまい、気が付いたら、あれれ??ということになってしまったようにお見受けしました。だから、相談しあえるコミュニティを残せたらうれしいなぁと。
先日、ある窯元さんから「この寺子屋のおかげで本音で相談できる人ができました。この年齢で友人ができるなんてうれしいです。」と言われました。( ; ; )

有田焼で作られた町内マップ。有田の看板のほとんどは「有田焼」でできています。
私の任期終了もまじかです。
1)掃除をさせてください!から始まった仕事(信頼関係の構築)
2)車を作るように焼き物を作ろう。(生産性)
3)別名「夫婦ゲンカ」という名の「経営改善会議」(コミュニケーション)
4)会計士さんを怒鳴ってしまったアノ日(財務会計)
5)社長、これでは儲かりません。(利益と原価)
6)ブランドは1日にしてならず。(ブランディング)
7)『知っている』と『できる』は違う、ってそういう事か!(実行あるのみ)
8)一人で生きていくのは難しい(コミュニティ形成)
9)好きなものを作るのはマスターベーション?(コンセプトの重要性)
10)どうして僕に継いでくれって言わないの?(後継者問題)