本日のテーマは「トンネル窯」。
「トンネル窯」の特徴は、24時間365時間、トンネル状の窯を通すことで間断なく有田焼を焼き続けることができること。
こちらがトンネル窯。写真中央の「茶色の四角い物体」がそれ。今まさに台車に積まれた焼き物たちが入ろうとしているところです。
一般的な窯元は以下の写真のような自社専用の「窯」を持っており、これを「単窯」といいます。こちら↓大きい冷蔵庫みたいな姿のものですね。
さて、焼き物は丸1日かけて余熱→焼成→冷却などの温度調整をおこなって焼き上げます。この工程は「単窯」でも「トンネル窯」でも同じですが、後者の特徴をもうすこし詳しく説明すると・・・
「トンネル窯」は、焼き物を積んだ台車を20〜30メートルの「トンネル」の窯の一方から入れて、中を移動する間に余熱→焼成→冷却焼き上げて、反対側出口から送り出します。全工程が連続的に行われ,均質な製品が大量に生産できるほか,燃費や経費の節約など経済性も高い。
これはトンネルに入る前の焼き物↓
下の写真が焼きあがったもの。
つるつるぴかぴかです。
彼らの焼き物人生において最も輝いているのは、生まれたてのこの瞬間でしょう。なぜながら1300度もの高温で焼かれるため表面の不純物は全て焼き飛ぶからです。
かつて有田にはいくつもの「トンネル窯」がありましたが、今は「文山窯」のみとなりました。有田では唯一無二の「トンネル窯」となってしまいました。
約70年前、「文山窯」の社長は、これから伸びようとする有志を集めて「10個の窯元」を集めて「十社(じゅっしゃ)」という協同組合を組織し、共同で使える「トンネル窯」を導入しました。
当時は、焼き物が焼き上がると、商人は「軍手」をしてまちかまえ、トンネルのお尻からでてきたアツアツホカホカの焼き物を「俺が売ったるで!」と我先に奪い合うように取り合ったそうです。そんな需要も今はなく、市場規模はかつての8分の1になっています。
そして、十社は、今は「五社」に。ただし、いまも尚「十社」と呼ばれています。
モノが溢れる時代の中で有田焼という産業の生き残りをかけて窯元さんたちはいろいろなモノ/コトと戦わなければなりません。
というわけで、本日も、そんな窯元さんのところに行ってきまーす。