3年前(2015年)、スペイン700キロを歩きました。10キロのバックパックを背負って1日20キロから40キロを40日間かけて歩破しました。
よく聞かれる質問は、
人生観、変わった?!
・・
いえ、全然、、、、。
旅自体は自分史上最高に楽しかったをですが、精神的に、どっかーんときたような大きな変化は感じないまま、今を元気に過ごしております。でも、それでいいんです、多分。(詳しくはこちら)
とはいえ、新たな「視点」を得たことはあります。
一つは「土」をみれば、その土地の魅力が想像できるようになりました。
これが結構あたるのですが、そんなきっかけとなった話です。
人間は歩く時、必ず、「下」を見ます。
ある研究調査によると、人は視線/視界の6割程度「下」を見て歩くとか。
スペイン横断は「東から西にむけてまっすぐに700キロ」歩きました。
最初は、砂漠地帯から歩き始め、野を超え山を超え、雨量が多い地域に足を踏み入れ、最後は、大雨の中をゴールしました。
それが楽しいのか?と思われるかもしれませんが、サイコーに楽しいです。詳しくはこちら。
スペインのスタート地点(パンプローナ:ピレネー山脈の麓)は、こんな感じの土から歩き始めました。歩き始めたばかりなのに、すでに、靴は真っ白です。
カラカラの土ですが、ベリーとかイチヂクとかが生えています。ちなみに全部野生。
下は葡萄畑。かわいそうな位に、土はカラッカラです。
そして炎天下。35度〜40度くらいでしょうか。
一面、葡萄畑。
周りに誰もいないのをいいことに、葡萄をフサでとって、むしゃむしゃ食べながら(すみません。ワインになった時点のものを人生かけて払い続けるので許してください。)、歩くわけですが、これが、むちゃ甘くて、むちゃ濃厚で、むちゃウマイ!!!
土に水分や養分がない分、木は一所懸命に、それらを集めて蓄えます。細くてシワシワした葡萄の木ですが、ものすごいエネルギーを感じます。
実はこの地域は世界でも有名なワインの産地「RIOJA:リオハ」。
リオハワインは、私のワインリストの中では世界一うまい。赤白問わず。口に合わなかったリオハ産のワインはない。ホントーにおいしい。大好き。店頭に並んでいたら、大体、買います。(値段にもよりますが)
この乾燥地帯を5日間ほど歩くと、チョロチョロした芝生みたいのが生えているような「土」に変わります。
すると、でてくるんです。
その草をエサにする動物が!
ほら、羊の群れ。
その土地で食べるものときたら、これ。
ぬふふ。
さらに歩くと「土」がますます湿ってきて、でてきました。かたつむり。
ちょろちょろ流れていた川は、どんどん広くなり、船が通れるくらいに。船で物資を運べるくらいになると、商業が成立するようになり、ひとは集まり、街になる。
メソポタミア文明などの「川」を起点にした文明の成り立ちと同じです。
なので、土が湿ってきたら、ああ、もうすぐ「街」にでるだろうなぁ。
じゃ、久しぶりに、オシャレなレストランに行こうかな。
と、言うのも「土」が教えてくれるのです。
土だけではありません。
霧がうわっーと出てたりすれば、近くに川か海があるのだと思います。下の写真はガリシア地方の山。ものすごい濃霧が右から左に、すごい速さで流れています。
・・スペインの地図を思い出して、右が海だったよな・・
そっか、もう海が近いんだ、と思います。(写真の奥が「ガリシア海」のはず。)
・・海といえば魚介類・・・
タコだ。タコがいるはず。
タコを食べよう(スペインは日本以外で珍しく「タコ」を食べる国です。)
この付近にくると、葡萄畑は、前にあげた砂漠地帯の葡萄畑と様相はかなり異なり、みどりが多くて、土も湿っています。写真でもわかるかと思います。
葡萄は水分量が多く、酸味が強い。→ すっきり系の白ワインができる。
湿気があるならドライ系ではなく、カビ系のチーズもあるはず。それにカリンジャム(カリンは砂漠には生えない)をあわせよう。むふふ。
タコと白ワインとカリンジャム付きのチーズを食べよう。
と、霧でビショビショになりながら、「土」から妄想したマリアージュ(料理とワインの組合せ)を組み立てて、ゴールした町のレストランでは答え合わせのように、それを食べる。
むはー(至福のため息)
地産地消が美味しいのは常識だよ、と思う人も多いかと思います。
でも、私のように知識も経験も大したことない人にとっては、アタマじゃなかなか理解できない。でも、こんな体験を通してなら、感動的に理解できて、自説を圧倒的な熱量で延々と語れたりできるのです。
経験を語ることは、すごく、楽しい。
本でみただけの知識に、負ける気がしない。
経験に勝るものナシ!(ドヤ顔)
Experience without learning is better than learning without experience!
人生感を変えることはなかった旅ですが、土がその土地の魅力を生み出している、、と、気がついた知見(自論?)が、この後、いかせるとは、思ってもみませんでした。
続きは、また今度。