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「柿右衛門窯」に行ってきました。

先日、有田焼きのナンバーワンブランド「柿右衛門窯」に行ってきました。柿右衛門って誰?という方に簡単にご紹介しましょう。簡単に言うと歴史を作った窯元です↓

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柿右衛門のココが(も)すごい!(焼き物をよく知らない方は、ぜひ読んでください)

有田焼は昔、色が青色(呉須)しかありませんでした。その単色の世界に初めて赤の色を生み出したのが初代柿右衛門です。この手法は、日本だけでなく遠く海外まで影響を与えました。それは、磁器の発祥地景徳鎮にさえも。柿右衛門の器はある意味で「和の美、その極み」。また、その「余白取り」は明らかに後世の美術、また日本料理にも深い示唆を与え「器は料理の着物」と言われるようになったのは、まさしく、柿右衛門あってのことでしょう。

 

と、まぁ、有田に来たら誰もが一度は行ってみたい窯元だと思います。ショップや庭は営業時間であればどなたでも入れるのですが、今回は、特別に中も見せていただくことに。いろいろ衝撃があったのですが、最初の衝撃は、こちらの窯です。

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え!!!!? 

ま、薪窯!?(O_O)

これは私もびっくりしました。
だって、ほとんどの窯は、電気で「自動制御」できるガスを使っているからです。薪ということは、火加減や時間などは「手動」ってことです。職人さんが経験と知識、それに歴史的に培った技術を駆使して焼き上げなければいけないってことなんです。

その大変さ、難しさをイメージしてみましょう。



薪で「ごはん」を炊く VS 電気ジャーで「ごはん」を炊く

で、想像してみると、その大変さはお解りになるかと思います。

 薪で「ごはん」 電気で「ごはん」
 スクリーンショット 2016-02-12 13.16.31 VS スクリーンショット 2016-02-12 13.17.27
薪は重いし、汚れるし、煙もすすもでるし、火つけも火力調整も大変。 スイッチポン。食べたい時間に炊き上がります。

「焼き物」と「ごはん」との共通点は、”途中で絶対に蓋を開けてはいけないこと”。そして「焼き物」と「ごはん」大きな違いは、失敗した時のリスクの大きさ。

●「ごはん」を炊くのを失敗した場合は、家族に罵倒されるか「ごはん」の代わりに「うどん」でもすする程度でしょう。
●「焼き物」を焼くのを失敗した場合は大変です。丹精込めて形成し、何時間もかけて絵付けされた商品達がパーに。その月の売上がなくなります。これは大変なプレッシャーです。ゆえに、昔から窯を焚く人は「窯焼きさん」と呼ばれ、ほかの職人とは一線を画す待遇だったそうです。

窯焼きは丸2日間以上(約45時間)ぶっつづけで行われます。

その薪の量もすごい!

どーん。

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1年分ではありません。1回分です。約1000束使うそうです。

さて、今回、ご案内をいただいたのは、酒井田正宏さん。柿右衛門の顧問をされてらっしゃいます。

・・・全くの余談ですが、この凛々しいお写真をご本人にお見せした所「いつもはネクタイをしているのですが、この日は休日だったので・・。いや、お恥ずかしい」とのこと。ああ、すみません、そんな謙虚な所もとても魅力的で、つい載せてしまいました。(既婚アラフィフ女子@東京都出身)

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酒井田さんには、絵付け場所にもご案内していただきました。伺った日は土曜日なので工房はお休みでしたが、逆に、無人の美しく整然となった工房を見ることができました。静謐で凛とした空気に満ちています。

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柿右衛門窯で職人が一人前になるためには数10年、技術によっては30年以上もかかり、84歳で現役の方もおいでだそうです。歴史の重さとそれを引き継ぐのは大変です。もっと書きたいことがあるのですが、今回はここまで。
次回も「柿右衛門」について書きます。

▶︎柿右衛門窯
住所:佐賀県西松浦郡有田町南山丁352
電話番号:0955-43-2267
営業時間:年中無休 9:00~17:00 (ただし年末・年始は除きます)
http://kakiemon.co.jp/

 

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