into 地方の経営者

胸をはって、子供に言えますか?

日本各地の職人さん(含む自営)と仕事をしていて「三大困ること」がコチラ。

1位:約束を守ってくれない。
2位:時間にルーズ。
3位:すぐに「できない」と言う

以上は、職人さん(含む自営)に限ったコトではないと思います。

職人さん(含む自営)の中には、学校をでたら、すぐに親の事業を継ぐ方もいます。一般的な企業であれば、先輩や上司が新人に教育的指導をしてくれるものですが、家族経営の規模になると、なかなかそうは行きません。気がつけば、基本的なビジネスルールを知らないまま、一番偉い経営者になってしまった。となると、もはや、誰も何も言えない状況になってしまっている?

最初は私も・・

1位:約束を守ってくれない→「約束は守りましょうっ!」
2位:時間にルーズ!→「次回は、時間通りにきてくださいよ。」
3位:すぐに「できない」と言う→「まずやってみましょう。意外と簡単ですから。」

などとクドクドと言ったものです。

でもですね、ゼーンゼン、聞いてくれないんです。

で・・どっかーん(怒)と。

怒るのはすごく疲れます。怒られるのも疲れると思います。これは、エネルギーの無駄使いだ。頭でっかちの私は、アンガーマネージメントの本や行動科学の本を読み始めた訳でございます。

というわけで、ようやく本題です。

今回は、「三大困ったこと」の3位の事例について書いてみます。(1位と2位は、そのうちに)


初めて、その窯元さんに行った時、wifiはおろか、PCもありませんでした。帳簿はすべて手書きだし、メールのやり取りもできない。東京にいるデザイナーさんとは必ず画像のやりとりが発生する。しかたなく、PCとwifi、できたらプリンターを買ってもらえませんか?とお願いしました。

その窯元さんは、すぐにITの基本3点セット(含むOffice)を買ってくれました。基本設定はご自身でやっていただいたのですが、エクセルで売上管理やパワーポイントで事業計画を作る段になった時に、ああして、こうして、な話になった時。操作に難儀していた奥様が、

「南雲さん、もうできません!難しいです!」と言い放ちました。

私のアンサーはこちら↓


はっきり言います。

今、息子さんは受験生ですよね?私が今、あなたにやってください、と言ったことは、息子さんがしている勉強よりカンタンなことですよ。息子さんは、間違いなく、これよりも難しいことをやっているはず。でも、あなたは、息子さんに「頑張りなさい、やればできるでしょう」とか言っていますよね?

あなた自身はどうですか?

経営を立て直したいと言っていましたよね。
息子さんは今すごく頑張っている。
あなたは、努力している、と胸をはって言えますか?

(言っている自分がコワイ・・(ー ー;))


この内臓をえぐるような質問を、我ながら、淡々とよく言ったなぁと思います。
その数週間後。

その窯元さんのところにきてみたら、奥様はニコニコしながら、私のほうに手を振りながら、いいました。

南雲さああーーーん、あれ、やってみましたよ!そしたら、本当に南雲さんが言った通り、簡単でしたーー♪

でしょ、でしょーーー?よかったーーー!

(ハグ)

あとで聞いた話ですが、私が放ったいくつかの「むかつくコトバ」の中で、これが一番効いたそうです。でも奥様は「確かに南雲さんのいう通りかもしれない」と思ったそうです。

で、やってみたら、ホントーに簡単だったと。

この奥様は、その後は、音を立てるようにメキメキと進化していき、パワポもエクセルも、使いこなし、FACEBOOKはもちろんインスタグラムもほぼ問題なく活用しています。スバラシー!ちなみに、私は、いずれの操作も一切教えていません。やって欲しいだけを言い、あとは奥様が自力で頑張ったのです。

余談ですが、ある夏の暑い日にその窯元さんのところに行ったら、今までなかったクーラーが部屋についていました。

あれ?クーラーってありましたっけ?と言ったら、

私たちは、この暑さは慣れているからいいのだけど、東京育ちでクーラーに慣れている南雲さんには辛いと思い、体調を壊される前にと、慌てて。と奥様(にっこり)。

え・・・

私のための、クーラーなんですか?

理論上とかではなく、リアルな世界で、マジでぶつかり合うと、ものすごく疲れます。でも、それは、運動をした後のような、とても気持ちがよい疲れであり、きっと、お互いに、自らの血となり肉となっているのではないかと思っています。

おしまい


おまけ:アイキャッチの写真は、私がよく怒っていた伊万里の窯元の奥様と行った虎ノ門ヒルズの「ANDAZ HOTEL」のレストラン「Tavern」。洋風なスタイルなのに、和食器が充実しており、その窯元さんの食器も使われています。手前左下のいぶし銀のような”黒いお皿”がそうです。

関連記事

  1. into PR

    市場の価値観ってなんだろう?

    なにか新しいことをやる時はトテモドキドキするものです。それが伝統を重ん…

  2. into 地方の経営者

    「柿右衛門窯」に行ってきました。

    先日、有田焼きのナンバーワンブランド「柿右衛門窯」に行ってきました。柿…

  3. into 地方の経営者

    こんなに時間がかかる有田焼

    「磁器」である有田焼きは「陶器」に比べて製作工程が多く、時間が…

  4. into 地方の経営者

    ”夫婦愛”もRevitalization(活性化)?

    このプロジェクトのおかげで夫婦の会話が増えたんですよ。と、窯元…

  5. into 地方の経営者

    8)一人で生きていくのは難しい。

    これが地方というものなんだ・・・。経営者は孤独なものだと思いま…

  6. into 地方の経営者

    蔵から出てきたお宝

    焼き物の絵付けには欠かせないのが、これ。「ナカダチ紙」…

最近の記事

  1. into 地域で頑張る人たち

    在庫が宝になる。吉田焼の成功に見る「マイクロツーリズム」の未来
  2. into 磁器産業

    焼き物好きはミッドタウンへGO!
  3. 未分類

    マイクロツーリズム時代に求められる「広報」の力
  4. into 私の思考

    手仕事されたモノが心地よい理由
  5. into 地方の経営者

    5)社長、これでは儲かりません。
PAGE TOP