into 地方の経営者

5)社長、これでは儲かりません。

社長、この商品は全く儲かりませんよ。むしろ、作れば作るほど赤字です。

えええ!?
((((;゚Д゚))))))) 

↑窯元さんの顔

あああ、この会話を一体何人の窯元さんとしたことか?

なぜだ!

なぜ、こんなことになってしまっているのだ!?

窯元の皆さんは「もっと儲けたい」「もっと楽になりたい」と、おっしゃいます。でも、

どうすれば儲かるのか?

ここに、なかなか繋がらないのが実情のようです。

それは、窯元さんの多くは作ることが専門で、売ることは「卸会社」に”お任せ”していることに関係があると思います。窯元さんの多くは陶器市などの”お祭り”は除き、市場(マーケット)に出たことがない方がほとんどです。

自分の商品なのに
・どんな人が
・どんな時に
・どんな店で
・どんな理由で
・いくらで
買っているのか知らない。知る必要がなかっのです。(敢えて過去形でいいます。)

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

人口2万人の町に120万人が訪れる陶器市。

商品開発を、端的に言うと、卸会社の方が、こんな感じの焼き物(他のどなたかが作った商品)を作ってもらえませんか?という所から始まります。その時、値段は「こんな感じの焼き物」とほぼ同等であることが前提になるか、むしろ、安い時(値切られる時)もあります。(´Д` )

いずれにしても、原価も工数もまだ未知の段階で値段が決まってしまうことが多いようなのです。

でも、大抵の窯元さんは言います。

んー。大体の原価や工数はわかっているよ。

は?ホントーですかっ!?だったら、こんなことにならないじゃないですか!それは20年前の価格でしょ!(どっかーん)

あかん・・・

あかんです。(´Д` )

いくら物作りが好きでも、朝早くから夜遅くまで働いて、利益がない商品を作るなんてありえませんよ!あなたは経営者として失格です!・・・なーんてことは言ったことありません。はい。似たようなことは言ったかもしれませんが。

まずは、自分の商品が「おいしいのか(利益があるのか)」「まずいのか(利益がないのか)」を知ることから開始せねば。そこで、こんなものを作りました。

その名も「(理想)の卸価格算出表」

このブログに載っていたから原価や卸価格の適正なんだ!と言わない方のみ、参考程度に使ってください。ダウンロードはこちらから→卸価格算出表

スクリーンショット 2016-05-26 20.29.33

月給と稼働日数をいれれば人件費がでる表もいれておりますので自己責任で使ってください。

※:間違っていたら教えていただけると助かります!

スクリーンショット 2016-05-26 20.30.48

卸価格には、販売管理費もいれて、更に「工場の補修」や「自分を含む従業員の皆さんの給料をあげる」ための利益もいれてください。利益がないと持続可能な経営になりません。

利益率が高い商品は、より売れるような戦略を考え、低い商品はコスト改善や値上げなどを考えるのです。

このプロジェクトで新商品を開発したばかり窯元さん曰く・・

な、南雲さん〜!!((((;゚Д゚)))))))
これで計算したら上代(定価)が高くなってしまいました。高すぎるので、利益はちょっと減らしましょうか・・?

と。

いーんです。(ほんとか?)
大丈夫です。(多分)

これからブランディングをやっていくのです。大丈夫。この窯元にも商品にも「ブランド価値」はあるんですから。

とはいえ・・

そこには戦略と地道な活動が必要なのです。


<有田奮闘記の総集編>
1)掃除をさせてください!から始まった仕事(信頼関係の構築)
2)車を作るように焼き物を作ろう。(生産性)
3)別名「夫婦ゲンカ」という名の「経営改善会議」(コミュニケーション)
4)会計士さんを怒鳴ってしまったアノ日(財務会計)
5)社長、これでは儲かりません。(利益と原価)
6)ブランドは1日にしてならず。(ブランディング)
7)『知っている』と『できる』は違う、ってそういう事か!(実行あるのみ)
8)一人で生きていくのは難しい(コミュニティ形成)
9)好きなものを作るのはマスターベーション?(コンセプトの重要性)
10)どうして僕に継いでくれって言わないの?(後継者問題)

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