有田には約150もの窯元がありますが、お互いの窯を訪問しあうことありません。
作業現場は「アンタッチャブルゾーン」まさに「禁断のエリア」なのです。
そんな工場の中を定点観測してみると・・・
・おや?同じ人が同じものを持って、なんども往復している。
・それをどかせば、そこを通れるのに。
とかが、見えてきます。
あ、そうか。
かつては大人数で働いていた工場の現場を少数になってしまった今でも、そのままの状態で使っているんだ、、と。
イメージではこんな感じ。
そこでやったことは4つ。
1)きゅきゅっと小さく。(まじめする)
使うものは身近に。使わなものは捨てる。空いたスペースにはモノを置かないように立ち入り禁止に。居心地がよいエリアに作業スペースを移動、便利さも工夫。(間締め:生産用語で”まじめ”と読みます)
2)スタスタ歩ける。(導線を確保)
工程から工程を「まっすぐに歩ける」ように。歩く場所とモノを置く位置と区別できるように黄色のテープを貼って完成!
3)定位置を決める。(看板をつける)
習慣ついたものを治すのはムズカシイ。だから「○○置き場」と書いた看板をつけました。こう書いてあると、他のものはおけない・・・。つまり、モノは定位置に収まるようになるわけです。
4)作業を楽にする。(重いものはコマをつける)
焼き物の道具は、とにかく重い。重いから、元に戻したくないし、腰を痛める。体とココロの負担を軽減するために、滑車をつけた台車を制作。これで重い釉薬もガラガラー、スーっと移動できます。
ひとまず、これでやってみようじゃないか!
うーん、美しい。
と言われても、フツーでしょ?と思われると思うのですが、ビフォアーの写真(見せられませんが・・・)と比較すれば、きっと、その変化に誰もが驚くと思います。
まるで、トヨタの工場のようじゃないですか?
・・・・
・・・・
・・・という、目標をたてることが重要!
現場改善のお手本にしたのは、世界に誇るジャパン・ブランド「TOYOTA」の「トヨタ方式」です。
トヨタ方式をしらない方はこちらをどうぞ!
さて・・・・
この大仕事をやってくれたのが、こちらのおじさまトリオ。
左からアカセ木工の松山さん(現場改善の設計者 兼 私の相談役 兼 飲み友)、平山さん(有田のご意見番)、吉村さん(趣味は料理)。この人たちは、本当にすごかった。
ものすごく大変なことを、
ぐおおおおおおおおおーーー
と、やってのけてくれたのです。
従業員さんがなんだか楽しそうに仕事をされるようになった姿をみて、うなずく窯元(経営者)さんの後ろ姿をみて、
よし、いける!
と確信した一瞬でした。
ただ、その半年後にうち砕かれましたけど。3歩進んで2歩下がる、人生はワンツー・パンチ。人生あまくない!
<有田奮闘記の総集編>
1)掃除をさせてください!から始まった仕事(信頼関係の構築)
2)車を作るように焼き物を作ろう。(生産性)
3)別名「夫婦ゲンカ」という名の「経営改善会議」(コミュニケーション)
4)会計士さんを怒鳴ってしまったアノ日(財務会計)
5)社長、これでは儲かりません。(利益と原価)
6)ブランドは1日にしてならず。(ブランディング)
7)『知っている』と『できる』は違う、ってそういう事か!(実行あるのみ)
8)一人で生きていくのは難しい(コミュニティ形成)
9)好きなものを作るのはマスターベーション?(コンセプトの重要性)
10)どうして僕に継いでくれって言わないの?(後継者問題)