窯元さんと経営改善会議を始めると、始めの頃は、しょっちゅう、夫婦ゲンカに発展します。有田にいる窯元さんのほとんどが夫婦+アルファで営んでいます。経営状況の話は夫婦セットで話をきくのですが、
課題などの話になると・・・
夫:お前がやらないからじゃないか!(机を手でバーンと叩く)
妻:はぁ?なにいってんのよ。あの時は、いいっていったじゃない!!!(夫を指で指す)
(経営方針を聞くと)
夫:・・・・(うつむく夫)
妻:んもぅ!あなたっ、しっかりしてよ!(肩をベシっと叩く妻)
になります・・・・。
こうなると、私は、
さてっと、お腹もすいてきたことだし、ごはんでも食べに行きますか!
と声をかけます。
窯元さんの工場はとても冷え込みます。誰もいない事務所は殺伐として、ここで夫婦ゲンカが始まると、楽天家の私でも正直とっても気がおもくなります。なので、食事と称して、ファミレスに誘います。
- ファミレスだと、あまり大きな声で言い合いはしにくい(やっている夫妻もいますけど)
- ドリンク飲み放題!
- 椅子が柔らかい!
- なによりも、寒くない!!!
そこで、やおら、ノートを広げて、
右側に<社長(夫)の言い分>、左側に<経理(妻)の言い分>と書いて、経営課題という名のお互いに対する文句をどんどん言ってもらいます。大きい話から小さい話まで、様々な問題を「図解」してあげると、頭が整理されてくるのか、建設的な会話になってきます。この夫婦ゲンカ、経営改善会議から生まれた一例がこちら。
<窯地図>
社長の<頭に中>にある窯入れの配置図を吐き出してもらい、図にしたもの。これがあれば、社長じゃなくても、窯積みが効率よくできます。窯元の皆さん、これとっても便利です。良かったら、ぜひ、使ってください。
<生産管理>
工場長の<頭の中>にある生産管理を吐き出してもらい、社員全員で視覚化&一元化たもの。焼き物の生産工程はとても複雑で、もはやアナログ管理の限界を超えていますが、システム導入は費用がかかるので、次のミッションとして、まずはアナログで。(注意:この写真はプロセスの一部です)
とかとか・・・こうした諸々の問題を一つ一つ整理して、最終的には事業計画書にもっていきます。事業計画書ももちろんファミレスで作成です。
このプロジェクトをやって全員から言われたのが「最近、夫婦の会話が増えてきたんです!」
そ、そ、それは良かった!!!!
経営に問題がある窯元の夫婦間の会話は少ないです。とっても。
どうでもいいことですが、私の知り合いで編集の仕事をしている男性はほぼ既婚者(しかも複数回)です。彼らは、女性をくどく「言葉の使い方」が圧倒的にうまいんだと確信しています。
気がついたことは・・
会話は「よい組織」を構築するためにとても重要であること。
夫婦であり経営者は、きちんと言葉で「会話」をする必要があります。が、もし、喧嘩しそうであれば、ファミレスに行くか、別名夫婦円満カウンセラーの私をお呼びくださいませ。なんならLINEの代筆もいたしましょう。
<有田奮闘記の総集編>
1)掃除をさせてください!から始まった仕事(信頼関係の構築)
2)車を作るように焼き物を作ろう。(生産性)
3)別名「夫婦ゲンカ」という名の「経営改善会議」(コミュニケーション)
4)会計士さんを怒鳴ってしまったアノ日(財務会計)
5)社長、これでは儲かりません。(利益と原価)
6)ブランドは1日にしてならず。(ブランディング)
7)『知っている』と『できる』は違う、ってそういう事か!(実行あるのみ)
8)一人で生きていくのは難しい(コミュニティ形成)
9)好きなものを作るのはマスターベーション?(コンセプトの重要性)
10)どうして僕に継いでくれって言わないの?(後継者問題)