into 地方の経営者

6)ブランドは1日してならず。

あなたたちは何もわかっていない!と怒った自分がわかってなかったこと。

ブランドは、作る側は伝えたい「世界観」を消費者の「価値観」にビビビっとくるようにしなければならない緻密な仕掛けと地道な努力が必要です。特に大量生産ができずに手間のかかる手仕事が多い窯元さんが生き残りをかけるためにはブランディングが必要と考えます。

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宮内庁御用達の窯元になるのは、多くの窯元さんにとってのあこがれであり、目標でもあるらしい。

先日、ある窯元さんの工場に行きました。半年前に、すごい労力を使って大掃除をして綺麗に整理整頓した窯元さんの工場です。実は毎月訪問しておりましたが、だんだんと雑然してきた状態に危機感を感じていました。

南雲:「これ(散らかった状態を指して)は、どういうことですか?(怒)」
窯元さん:「今週はイベントがあって片付ける暇がなかったんです。」

は?!(~_~;)

本来はどうあるべきでしたっけ?

すると、窯元さんは、

片付ければいいんでしょ!

と言わんばかりにムっとした顔で手や足で放り投げるようにそれをどかしました。それが何回か続いたため、つい、怒鳴ってしまいました。

あなたたちは何もわかっていない!

重くてホコリだらけの不要物やゴミを”有田のために”と言って、老体(?)にムチ打ちながら、片付けてくれた”おじさま”たちの顔が目にうかび、あの人たちに申し訳ない、という気持ち。

整理整頓をした理由を説明しきれていなかった私の浅はかさ。

などが、ドバーっとこみ上げて、涙が溢れてきました。
…>_<…

涙がこぼれないように上を向きながら、こんな汚いところから生まれた商品を誰が高いお金を払って買ってくれるかと、話をしました。詳しい内容はこちら。

最初はムッとしていた窯元さんが、だんだん体をまっすぐにたて、そして、噛み締めながらうなずくようになり、最後は、今まで見たことがない真剣な顔で、「これからはちゃんとします」のようなことをおっしゃいました。

そして、自分達で整理整頓できる「仕組み」を作り、綺麗な状態を守れるようになったのです。多分、もう汚れることはないと思います。

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不思議な魅力に溢れている窯元の倉庫。いつ来てもワクワクしちゃいます。

そう・・・ブランディングのことをわかっていないのは私でした。
商品やWEBのような「緻密な仕掛け」とは別に一つ一つ、「ブランドの魂」を”窯元さん自身”がいれていく「地道な作業」が必要だったんです。それを私を含め他人が全部やってしまっては、あかんのです。
●これは当社の理念にあっているか?
●利益は取れているか?
●無駄はないか?
●お客様に誇れるか?
他にも、従業員は仕事に誇りや喜びを感じているか、、などを問いながら行う必要があると思います。それが、次の話・・・。


思わぬところでインナーブランディング。

前職で旅館のブランディングをしていた時に、前例がない上質で高額なアメニティを入れたことがありました。

我ながら、すばらしー(自画自賛)ものだったので、これはメディア受けもお客様受けも良いはずだろう、と思ったのですが、さにあらず。さほどの評価は感じられませんでした。
そこで、一計を案じて、SHOPでそれを販売することにしました。

その翌日、SHOPの倉庫で掃除(きっかけは、いつも掃除)をしていたら、表にいるスタッフの会話が聞こえてきました。

スタッフA:「ねえ、ねぇ!これって、こんなに高かったんだね!」
スタッフB:「え!?本当だ!」
スタッフA:「へー、●●で▲▲なんだって!!!!」
スタッフB:「へええ、お客様は、うちに泊まると、こんな高いものをタダ(一応、宿泊料金はいただいておりますが・・)で使えるだね」
スタッフA&B:「へええ!すごいね。さすが、うちの旅館!」

 へえええぇ。(*゚▽゚*)

おそらく、このスタッフはお客様にこのアメニティを自信たっぷりに説明してくれていることと思います。当初は社外に向けたブランディングの一環でしたが、社内に対しても効くんだ(インナーブランディングと言います。)な、と実感したことがありました。


これの逆の話。
ある窯元で、職人さんが一つの商品に長時間かけて絵付けをしていました。

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写真と本文は関係ありません。これは梶謙さんの招福鯛の絵付けをしているところ。

こっそり計ったら・・・
人件費だけで卸価格をうわまっています。つまり赤字商品。

工数の改善ができないかと思い、職人さんに話しかけました。

南雲:「すごく手が込んでいますね!」
職人さん:「そうよー、手がかかるけど、一つ一つ表情が違うのがいいのよね。でも、こんなに手がかかっていても、これは安い価格で売られているだよね。お金にならないものをあと200個作らないとならないんだよ」

と疲れた顔でおっしゃいました。

ちなみに、その商品は工数改善できる余地はありませんでした。

その時、心の中で思いました。

「待っていてください。今、あなたが誇れる、すばらしい商品を開発していますから。」

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デザイナーさん、カメラマンとの打ち合わせ@福岡空港。時間がなく、東京、福岡、有田、久留米の人をここに集結。

職人さんもブランドを築く重要な「担い手」です。そのハレの時がきたら経営者の口から直接職人さんに伝えて欲しい。私にはやりたくても、それはできない。


<有田奮闘記の総集編>
1)掃除をさせてください!から始まった仕事(信頼関係の構築)
2)車を作るように焼き物を作ろう。(生産性)
3)別名「夫婦ゲンカ」という名の「経営改善会議」(コミュニケーション)
4)会計士さんを怒鳴ってしまったアノ日(財務会計)
5)社長、これでは儲かりません。(利益と原価)
6)ブランドは1日にしてならず。(ブランディング)
7)『知っている』と『できる』は違う、ってそういう事か!(実行あるのみ)
8)一人で生きていくのは難しい(コミュニティ形成)
9)好きなものを作るのはマスターベーション?(コンセプトの重要性)
10)どうして僕に継いでくれって言わないの?(後継者問題)

 

 

 

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