経済活動が止まる有田のお盆

「すみません・・その日は働けません。」

6月末のある日、窯元の奥様は、すまなそうにおっしゃいました。
へ?7月半ばのクソ忙しいこの時期に、な、なぜっ!?、という顔をすると奥様は恥ずかしそうに

「だって、お盆ですから・・。」

有田のお盆は旧暦の7月13日から15日で行います。お恥ずかしながら、現在のお盆は全国共通で8月半ばだと思っていました。

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「なるほど、なるほど、夏休みなのでどこかに行くんですね?」と聞くと、

「いえいえ、ご先祖様が帰ってくるのに家を空けるなんてとんでもありません。ご先祖様をお迎えする準備で忙しくて他のことができないのです」と真剣な面持ち。

ふむ。この感覚には覚えがある。

それは前職の広報時代に仕事で訪れた沖縄の竹富島のこと。

島には問答無用で島民全員でかかりっきりになる「種取祭」という祭りがある。10日間、飲んで、踊って、神様に感謝する。この祭りに費やされるエネルギー総量はものスゴく、到底ここでは語りえない。他にも色々あったが詳しくは割愛。ともかくも、同じ日本なのにこの文化の違いにショックをうけたことがあった。

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御嶽(うたき):琉球信仰の聖域とされ、この前を通る時には挨拶+名前+年齢+住所をいわなければならないと教わった。

私は、未知のモノ/コトに出会うと、非合理/不条理なものにはメラメラと改革マインドが湧いてしまうが、信仰的なものには、最上級で尊重しなければならないという思いと、私には足りないなにか大事なものを感じてしまう。大いなる好奇心とともに。

という訳で、奥様に

「あのあのあの、、、お願いだから、その飾り付けとかお供えとか、諸々の写真を撮ってみせてもらえませんか?」

とお願いしてみた。心よく協力してもらえたので、お供えの食事(ほんの一部です)を紹介します。

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お盆の最初に供えられる「お迎えダゴ」(あんこのついたお団子)
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ご先祖様へのお供え:基本は精進料理。
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餓鬼じょうろ様へのお供え:あじさいの葉に盛りつけられた食事。本当は蓮や里芋の葉を使う。そして、ご飯にはコモを折った3膳の箸が突き刺さる。

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仏前には2膳分のお供えが。1膳は「ご先祖様の分」もう1膳は「餓鬼じょうろ様の分」。

ガキジョウロサマ・・・?

なんだ、それは?((;゚Д゚ ))

奥様に聞くと、

「ご先祖様は帰られる時に、よくない霊も一緒に連れて帰ってきてしまいますよね?(はぁ、知らないです)その悪霊は誰からも歓迎されなくてかわいそうなので、こうやってお食事を出しておもてなしをするのです。」

そ、そうなんですか。でも、なんでお箸のようなものが3膳ごはんに突き刺さっているんですか?と聞くと・・

「だって、餓鬼じょうろ様は何人もいらっしゃるじゃないですか!」

へ!?

つまり、悪霊が集団で家にくるってこと!?((;゚Д゚ ))

他にも色々ありますが長くなるので割愛。有田のお盆はかなりストリクトなため、経済活動はほぼ動かないそうです。7月半ばにお仕事で有田にいらっしゃる方は要確認です。


ちなみにお供えにある「ウリ」。

これは奥様の年中行事として、梅雨の時期に20キロものの酒粕を使って作られるお手製の「奈良漬け」。好奇心で「切れっ端を食べさせてください♥」とお願いしたら、自宅に洗面器を三回りほど大きくしたタッパーの樽でどどーんと送られてきました。そんなつもりはなかったんですが、漬け物&発酵食品好きな私としては大感激!!!

酒粕でつけたウリやらショウガやらが入ったうれしいタッパー。サイズ比較のために置いたトマトはLサイズのもの。たっぷり入ってます。
サイズ比較のために置いたトマトはLサイズのもの。たっぷり入ってます♥

地域の仕事で未知の出来事に出会う度に日本の魅力は地域にある、と心底思うのです。こんな魅力に出会えるチャンスを仕事としていただけることに感謝しながら、奥様お手製のウリをパリパリ食べるトウキョウモンのお盆も今日で終わりです。

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