• 私の胸が熱くなる瞬間

    私の胸が熱くなる瞬間

     

    有田生活も13ヶ月目に突入。月の半分を過ごす有田の日々はネタが多過ぎて編集に時間がかかり、ついついブログを放置。こ、これじゃイカン!窯元さん達にはブログアップしろ!と鬼の形相で言っているのに、バレたらまずい・・・。えい、まとめずにアップしてしまえ。

    という訳で、2016年の初心表明。

    ブログをチャンとアップする

    ああ、恥ずかしい・・・こんな初心表明をすることになるなんて・・。

    ともかくも、2016年最初の有田出張は「副久製陶所」からスタート。

    IMG_9534

    話しは1年前にさかのぼりますが、当時、やっていたのは窯元のブランドコンセプトの確立。

    あなたの会社を特長つけるものはなんですか?

    副久さんに限らず、職人さんには謙虚な方が多くて、なかなかウリになる事をおっしゃってくれません・・・。仕方なく、カマをかけてみることに。

    私:「器の形を造るのって楽しいですよね?」

    社長:「んー・・・素地(既に形になっている焼く前のもの)を仕入れるから、自分で形を造るってことはないんだよ。」

    私:「(実は知っている)」

    私:「じゃ、絵を描くのって、ついつい夢中になっちゃいますよね?」

    社長:「んー・・・ま、仕事ですからねぇ」

    私:「(そうだろうな・・。)」

    「・・・」

    私:「では、焼き上がった窯を開ける時ってドキドキしますよね!?」

    社長:「・・・・そういえば、呉須(青の絵の具)が好きな色に焼き上がっていたら嬉しいねぇ」

    ━━━(゚∀゚)━━━!うおー!キター!

    巧みな揺動作戦により、社長は自分好みや得意分野に気づき、呉須の表現の難しさや、色の美しさについて、詳しく話しをしてくれました〜。その呉須のこだわりをコンセプトデザインにして商品を一緒に作ってくれたのがTAKTという若手のデザイナー集団。

    IMG_9451あんなことやこんなことをした試行錯誤の半年が経過して、ついに完成!

    slide1
    副久GOSU完成〜!

    その名も「副久GOSU」。色の濃さを「GOSU1.0』「GOSU2.0」のように呉須の色の濃さを五段階で表現しました。しかも、単に呉須を「塗る」のではなく、「濃み(だみ)という手法で色つけをします。

    はい、ここで焼き物Tips。

    濃みとは・・・濃筆(だみふで)という鹿の腰毛で作られた太い筆の根本を握る力の強弱で流れ出る絵の具・呉須(ごす)の量を調整し、色の濃淡を表現する伝統的な技法のひとつ。
    絵付けの中でも特に難しく、焼き上がりの色の濃淡を予想しながら、絞り出す絵の具の量を調節するという大変な熟練技を必要とします。筆は一般的な筆の描き方とは異なり、敢えていえば、スポイトに近い働き。この形の濃み筆は九州・山口地方独特のもの。

    この「濃(だみ)」を繰り返し重ねることで深みの色合いに仕上がりました。ちなにこれが「濃み筆」

    IMG_9152

    この筆から産み出される、この色、どうです?

    slide3.jpg
    GOSUの箸置き

    美しいでしょう?

    お料理を盛りつけるとこんな感じ♥

    IMG_9845

    あら、ステキ!
    もう一つ、こんな感じも。

    IMG_9846 (1)

     

    料理自慢のKさんがプロトタイプのGOSUを購入して、こんな風に使ってくれました!

    さて、モノは、作っただけは売れません。特に有田焼は家族などの小規模で焼き物を作っている窯元さんが多く、その場合は作るだけで精一杯。とても売ることまで手が回らないのです。そこで、このGOSUのコンセプトを理解して、有田焼を世の中に売っていきましょう!という熱い方を探しました。

    そして、更に半年がたち、若くて熱い営業マンさんがいる「まるぶん」さんに出会いました。その栄えある第1歩は2016年1月19日からの六本木のミッドタウン1階でのイベントスペースでの販売。それに続き、この「副久GOSU」は、アチコチのステキSHOPで皆さんのお目に触れることになるでしょう。

    私の仕事は山あり谷あり。うまく行かなくて落ち込むこともありますが、こうしてなにかを産み出す瞬間に立ち会えるのは、胸が熱くなるくらいに嬉しい。色々ありますが、明日も頑張ります。

    OLYMPUS DIGITAL CAMERA
    素地がびっしり乗った皿板を「あらよっと」とかつぐ副久の社長

    ▶商品のお問い合わせ
    副久製陶所:http://soekyu.jp/

    ▶販売のお問い合わせ
    まるぶん:http://www.marubun-arita.co.jp/

     

  • 窯に「アート」を持ち込んだ窯元

    窯に「アート」を持ち込んだ窯元

    仕事の合間に遊びにいく窯元の一つがここ「幸楽窯」さん。創業150年の老舗です。私はここが大好き。なぜかというと、私の冒険心をくすぐるモノやコトがあるから。最初に言っておきますと、ここは誰でも見学ができます。文末には窯元情報も記載しておりますので、期待してどうぞ!

    ここは昭和34年に小学校を移築して作られた窯元。その規模は有田の中で最大級!ここで『かくれんぼ』をしたら絶対見つけてもらえないほど広くて隠れるのに適したモノカゲがたくさんあって、ワクワクします。

    敷地全体が「学校」のような造り。校門のような門構えの後ろに連なる桜並木を300メートルほど進むと、真ん中がぽっかり空いた「校庭」のような空間にでます。そこを囲むように朝礼台、校旗をたてるポール、用具入れ、離れの教室・・のようなものがあります。

    new_P4180241

    この写真に写っている黄色のお屋根の建物は元は給食室の会議室。この建物には、謎の先生専用の娯楽室(なんだ、それは!?)、その横にレトロ感満載な厨房のような空間が。敷地内には一般的な食器などの商品が大半を占めているのですが、その間からチョイチョイフシギなモノが顔を覗かせています。それは・・・

    「Artist in Residence(アーティスト・イン・レジデンス)」に関係するもの。聞き慣れない言葉だと思いますが、つまり・・・

    芸術家の方へ
    どうぞ、あなたの好きなものをお作りください。
    もし、焼き物を作りたかったら、土や釉薬はもちろん、プロの職人もお使いください。
    あなたは、ご自身の感受性を存分に発揮するだけ。
    私たちはそれをサポートします。ここは他には希有なワンダーランド。あなたの感性を刺激することでしょう。ここで受けたイマジネーションを芸術という形で表現してください。

    という考え方に基づき、芸術家に思索と活動の場を提供しようというもの。芸術を起点に有田の活性化(着地型の観光)や新しい商品の創出としての「ビジネス」につなげようという取り組みをされています。宿泊場所(レジデンス)も完備。更にピメンタさんという5カ国語を操る芸術家兼コーディネータが、レジデンスに住みながら、内外にむけて活動推進を図っています。こんな人達とも会えるので、ついつい遊びに行ってしまうのです。

    で・・・どんなモノがあるのか・・・

    これは口では説明できませんので、その一部を写真でおみせしましょう。販売もしているので詳しくは窯元さんにご相談ください。

    まず、こちら。

    ガイコツです。今風に言うと「スカル」。
    スカルのワイングラスとワインクーラーです。
    か、か、かッコエエ!

    new_P4180238

    new_IMG_8919_2

    お次は、巨神兵の抹茶茶碗。

    new_IMG_8922_2

    ・・・・コワイ・・・。
    でも、これを使ったら、とってもアバンギャルドな茶会になると思いませんか?これは上から見ると普通の抹茶茶碗に見えます。で、この茶碗を持ち上げた時に初めてこのお顔と遭遇する訳です。ムフフ。
    焼き物だけではありません。
    これは、えーっと「プルート」?

    new_P4180227

    工房にある廃材をつかって作ったそうです。夜になるとライトアップされて雰囲気たっぷりです。

    お次は、えーっと「泡」?

    new_IMG_8554_2

    よく見ると下にバケツがあります。これは四半世紀もの間、動いていないそうです。そういった時空との関係性も(を?)表現したアート作品です。どれも、うまく説明できません。でも、いいんです!感じれば!(多分)

    こうした取り組みは新規事業として展開されており、メイン事業は業務用/一般用の食器類ですので念のため。焼き物に「アート」を持ち込む窯元さんは他にもいらっしゃいますが、「窯」という空間に持ち込んだ窯元さんは、私が知る限りここだけです。

    今回紹介したアイテムは全て見学可能。芸術家でなくてもオリジナルの焼き物を作陶できます。有田に来た時には、ぜひ、このミラクルな世界をご体感ください。

    ▶幸楽窯 徳永陶磁器株式会社 :http://kouraku.jp.net/
    〒844-0023 佐賀県西松浦郡有田町丸尾丙2512
    TEL 0955-42-4121

  • 塀に塗り込められたお宝

    塀に塗り込められたお宝

    東京から愛車のチビカーを陸送してきた私。

    new_IMG_8514

    魅力的な商店が並ぶ目抜き通りでも、その車でブンブン飛ばしていたので、最初は気がつかなかったのですが、有田の目抜き通りを一本入った所に、これぞ”焼き物の街”を感じさせる町並みがあることがわかりました。(ガイドブックにはしっかり紹介されてますが、読んでなかった・・・。)

    それは「トンバイ塀」。

    トンバイ塀
    トンバイ塀

    トンバイとは焼き物を焼く窯に使われていた煉瓦のこと。

    そのトンバイに石や土を混ぜて固めた塀のことを「トンバイ塀」と呼んでいます。塀を、よーく見ると、釉薬がついてガラス化した煉瓦、トチンやハマ(どこかで解説します)が。中には骨董の価値がありそうな有田焼の破片もあり、
    さながら「有田焼きの標本!」。

    「トンバイ塀」通りには車は殆ど入ってこないので、ゆっくりと散策できますが、おすすめは雨の日。しっとりと濡れた煉瓦や焼き物がキラキラしてとても美しいです。

    950-352-50

    高さにも注目。

    有田焼は「分業制」と言われています。仕事上の役割分担は立地でみてもわかります。

    ●目抜き通りがある地域は「商人の街」→商品を売買しやすい場所にある。内山とも呼ばれています。

    ●人通りの少ない地域は「窯焼きの街」→目抜き通りを一本入った所もしくは黒牟田地区。源右衛門さんがある地域は黒牟田地区とも呼ばれ、通称「外山」とも呼ばれています。

    トンバイ塀は、作陶技術を外から盗み見されないように立てられたました。

    new_IMG_9545

    つまり、「トンバイ塀」が巡らされている中にお住まいなのは(だったのは)「窯元」ということですね!

    水道管工事などで、現在は家よりも道路のほうが少し高くなっていますが、かつては眼より少し高く作られていたそうです。当時は、その「トンバイ塀」に使われている煉瓦が見えると見苦しいので土でお化粧をした、、つまり、塗り壁だったそうです。ですが、煉瓦が見えているほうが、美しいし、有田焼きの歴史が塗り込められている感じがして断然良い◎と思います。

    皇室御用達の有田焼を作っている「辻精磁社」の敷地の中には「塗り壁」がまだ残されていますので、ショウルームをみるついでにご覧になると良いかと思います。

    new_IMG_9080

    ともかくも、そんな”うんちく”を聞いてしまうと、つい、背伸びをして「トンバイ塀」ごしに屋敷の中を覗いてしまうのは私だけでしょうか。

  • 蔵から出てきたお宝

    蔵から出てきたお宝

    new_IMG_0361_2

    焼き物の絵付けには欠かせないのが、これ。

    「ナカダチ紙」

    new_IMG_8363

    これは絵付けをする前の下絵となる図案です。

    私が今お手伝いをしている「梶謙製磁社」は創業250年以上、江戸時代から続く老舗の窯元さん。かつては大勢の職人さんを有しており、山一つ分に建物が9棟もあるという広大な敷地をお持ちです。但し、現在はその殆どは使われていない。

    ここで生まれ育ったお嬢様である奥様ですら、入ったことがない領域があり、
    まさにワンダーワールド!

    というか、

    カオス・・・。

    new_P4160156

    とにかくワクワクしてしまう世界があるのです。

    職人さんという職業は謙虚なのか、

    私:「得意なものはなんですか?」「特徴的なものはなんでしょう?」
    窯元:「大したものはなにもなにもないな〜。」
    私:「んーー、では、昔からのお宝にはどんなものがありますか?」

    と聞いても

    「いや〜、古いだけですから」とツレない・・・。

    「(もー!)では、お宝(と思ってなくても)でなくても、代々伝わるものないですか。例えば原画とか?」

    と言ったら、でてきたのがコチラ。⇩

    new_IMG_8341

    その数、百枚超。

    窯元自ら、太い梁がある倉庫(但し、はしごナシ)の二階によじのぼり、トロ箱にはいったボロ雑巾のようなものを「ほいっ」

    もうもうと煙幕のように、ホコリが舞う。

    羽はたきで、1枚1枚、ほこりを払うと・・・
    ほこりの下から現れたのは、今の有田ではみたことがない斬新でモダンな絵柄達。

    うおーーー!
    なにこれ?かわいい!
    こんなデザインを有田焼きでみたことない!!!!!

    この原画の間に挟まった新聞の年号から判断すると、どうも昭和初期に使われていたもののよう。

    new_IMG_8352

    ともかくも、こういう発見があるから老舗はおもしろい!
    鼻の穴がスス(絵は炭で描かれている)で真っ黒になり、真っ黒な鼻くそが出ましたが、洋服も真っ黒になりましたが、全然平気ですから。

    この絵をどう使う?と絵描きさんとキャッキャと盛り上がった一時でした。