やめちまえ。
実際は、もう少しだけ丁寧な言葉でしたが、そのお方は、はっきりとおっしゃっいました。
あれは三年前。プレス発表会が10日後に迫ったある日、その会社の一番偉い人に「今度のプレス発表会は、こうやります。」とお伝えしたら、一言
ダメ
は???!!?(・_・;?
え、なんで?なんですか?
と聞いたら、
ダメなものはダメ。
そのプレス発表会は中止にしてください。
??!
な、なんで、ですか?と聞いても「ダメだから」それだけ言って、ムッツリとおかえりになられました。
なにがなんだか、わからない。
もしかして、ホントに、プレス発表会をやめるべきか?いや、いや、そんな訳ないよね、ホントにやめてたらクビになるだろし。もうプレスの人にリリースも送っており、そこそこ出席してくれることはわかっているし。やることは何ヶ月も前から言っているのに・・・
ああ、いったいなんなんだーー。( ;´Д`)
全くわかんないよー!
・
・
これは、言った本人に聞くしかない。
アシスタントの所にいき、ここ数日の彼の予定を聞くも、予定はビッチリで隙間時間は全くナッシング。
うおー、どーすりゃいいんだーとアタマを掻きむしっていたら、アシスタントさんが気の毒に思ってくれたようで「明日は、ホニャララ(地方)で会議なんですが、前後は視察なので、誰とも会う予定はありません」と。
あん?・・ホニャララに来いということか?
そうだね、いくしかないね。
私は翌日のアポを再調整して、誰の了解も得ず、一路、ホニャララへ。
そして、新幹線の改札口で、スタバのグランデ(彼の好みは知っている)を持って、待ち伏せ。
その人は、私を見ても、眉ひとつ動かさず、「おぅ!南雲さん、おはよう!」
てっきり「なにしに来たの?」とか「帰れ!」と言われると思ったのに肩透かし。思わず、
「ようこそ、ホニャララへ!!」
「あ、あの、コーヒーをどうぞ」
、、と自分が何者なのか、よくわからない返事。
「おぅ、レンタカーはこっちだよ」と私が差し出したスタバのグランデを持って、スタスタ歩く・・その後を私はピョコピョコとついていき、、不思議なドライブが始まった。
ようやく、聞く勇気がでたのは、帰りの車の中。
あの、プレス発表会の件ですが、なぜダメなのか、全くわかりません。ヒントをいただけないでしょうか?と、聞いてみた。
実は、会社の方針が変わり、プレス発表会のやり方も変えないといけない事情がありました。
すると、その人は、
南雲さんはさ、考えてないよね。と、のたまいました。
?考えてますよ!考えました!
よりメディアの皆さんに喜んでもらうために「AをBに変えたんです!」(ドヤ顔)。
あーでこーで、と説明した後に、偉い人曰く、
ふーん、それって、大して考えてないよね?
いや、全く考えてないよね。
もっと考えてよ。
・・
そこからの記憶は、あまりありません。答えがでないまま、その人と餃子食べてビール飲んで、帰りました。
その晩は、1人ブレスト。
まずは、「考える」ってなんだろうから、考える。
余談ですが、なにかを真剣に考える時は、言葉の意味から考えるといいです。言葉ってのは、深い意味があります。いかに”勝手な”思い込みをしていたか、よくわかるものかと思います。
で、本棚にあった、野矢さんの「はじめて考えるときのように」をものすごいイキオイで再読。
はじめて考えるときのように―「わかる」ための哲学的道案内 (PHP文庫) 文庫 – 2004/8/1
野矢 茂樹 著
【要点のまとめ】
- 考えるとは:いかに問い、いかに答えの閃き(ひらめき)を待つこと(原文ママ)
- 考える技術とは:(要約)
1)問いを立てる:なぜそれが問題になるのか。
2)論理の活用:情報の意味を引き出す。
3)ことばを精錬する:思考を導く”言葉”かどうか。
4)紙に書く:手や目を使って、ビジュアライズする。
5)話し合う:人に伝える、様々な意見を聞いて、揉む。
ここで、もっとも重要なことは「正しく”問い”を立てる」ことです。閃き(ひらめき)を待つとありますが、閃く(ひらめく)まで”やる”ことだと思います。閃かない時は、問い自体が間違っているかもしれません。あと順番も重要。この順でやるのです。先達の言うことは、まるっと、やる。自分の都合のよい所だけやってはいけない。
・・
うん、まぁ、この論理でいけば、わたしの案は「変えた」だけか。
「問い」は、なんでプレス発表会をするのか。何の為にプレス発表会をするのか、などと紙に書きながら論理たてて争点を洗い出す。ゴールが見えて来た所で、メンバー会議をメールで召集。夜中だけど。
翌日の朝、会議。
みんな、すごいいい意見を言ってくれた。あの会議は今思い出しても楽しかった。多分、原点に返ったことがよかったのではないだろうか。
で、完成した案を、偉い人にチャットで報告、、するつもりがなぜか会社にいたので、直接報告。
曰く、「いいんじゃない。」
わー、良かった!ミンナー、いいってさー!
と、騒いでいたら、ご本人がニヤニヤしながら、
世の中はさ、トレードオフなんだよ。(ドヤ顔)
「やめちまえ」と言った瞬間、南雲さんの思考回路は動きだしだろ?(・∀・)ニヤニヤ
はぁ、そうですね。(^_^;)
自分は割と「考える」ほうだと思っていたのですが、「考えてない」と言われ、改めて『「考える」を「考える』機会が得られたあの日。あの数日間で得られた知見は一生の宝だと思っています。
おまけ:アイキャッチの写真は、ほにゃららで有名な名所の一つ。探さないでいいですよ。笑