母校で「パブリックリレーションズ戦略」の授業の講義をしています。そこで、”仕事の資質”について気づかされたことを思い出したので書いてみました。前編、中編、後編の堂々三本立て。ハンカチを用意して、どうぞ!

周囲には自然しかないので、勉強しかできないスバラシー環境の母校。
前の会社に入社して半年すぎた頃、会社の上司(と、その上司)から、ある地域の「認知度を短期間であげてこい」と指令が下りました。そして・・来週からキャラバン(メディア回り)に行け、と。
なぬ?
広告費ゼロで、
一挙に認知度(と意向度)をあげる!?
・・
そりゃ、むりです。
だって、その地域のメディアとは全く関係構築ができていない段階、誰も知らない。しかも、社名も知られていない時代でした。そこに、ノコノコと「急いで露出」してください的にPRしに行っても
「あんた、どこのどなたさん?」
状態になる。
とはいえ、上位連中は、それが難しいことを知ってて、指令を出しているのだから、よほどの緊急自体なんだろう。直属上司もいつも以上に鬼な真剣な形相だ。
・・・・
うまくいく訳がない。
そもそも、この人たちは、私がどんだけ人見知りか知らないのだ。
そう、実は、私は、ものすごい人見知り。(今はスイッチを入れば、そこそこ社交的な人間になれますが、入れないと、ずっーっと黙っています。)
広報の時は1週間に1社、頑張って2社のメディアを訪問するのが限界でした。視聴率があがり、購買数が増えるネタはなにか?を考えるとなると、手当たり次第に広報なんてできない。
コレだ(この人だ)、と思ったところに一球入魂じゃないと。
だから、ローラー作戦(だったのか?)をやれと言われると、思考停止になっちゃうのです。
という訳で、途方にくれすぎて、思考停止に。
・・
そのままボーっと半日が過ぎた頃、「ある人」の顔が浮かび、思考停止のまま電話。
その人は、とあるメディアの偉い方。
南雲:あの・・困ったことになってしまい、どうしていいか、わからないので、電話してしまいました
・・・
アホである。
それでも社会人か?
なんで、あの状態で電話したのか、わからないけれど、おそらく、それしか思いつかなかったのだろう。なんたって思考停止でしたから。
しかし、その偉い方は、私のボーバクとした話を聞き、しばらく沈黙した後に、おっしゃいました。
南雲さん、紙とペンを用意してください。
いいですか?
これから、あなたが行くべきテレビ局と番組名とプロデューサーの名前を挙げていくから、書いてください。
言われるままに書いたら、続けて、
この番組はいずれも視聴率が高い。ですから、露出できたら、御社の認知度は上がります。
おお!
ありがとうございます。では、今から、この方達に電話します!
と言ったら、
まだです。
次は南雲さんの空いてる日教えてください。
私がアポをとります。
な、な、な!?
・・確かに、私が電話したら断られる可能性もある。
という訳で、なんと、そのお偉いさんは、自らアポをとってくださいました。
そして、数時間後、アポの時間の連絡が。
ありがとうございます!このご恩は一生わすれません。では、頑張って、広報に行ってまいります!
と言ったら、
当日は、私も一緒にいきます。
・・
そこまでしてもらったら、死んでしまいたくなる位に、申し訳ないので勘弁してください。もうオトナだし、一人でやれますので大丈夫です。ご安心ください。
と、申し訳なさの気持ちだけでお返事したら、
お偉い方曰く、
南雲さん一人より、私もいたほうが露出できる可能性は高くなります。
・・なんで?
なんで、そこまで、してくれるんですか?!
°°・(>_<)・°°
自分の情けなさと、ありがたさと、嬉しさと、よく理解のできない展開にアタマは大混乱。涙がにじんで、言葉がでませんでした。
彼がそこまでしてくれた理由は、次回の中編で。
おまけ:アイキャッチの写真は北の大地で自社撮影した時の1枚。連日3時起き。しびれます。