into 私の思考

感性を磨くためには

旧白洲邸 武相荘 Buaiso:白州夫妻の感性が詰まった住居

旧白洲邸 武相荘 Buaiso:白州夫妻の感性が詰まった住居

焼き物の知識は殆どない状態で始めた仕事ですが、食器に関しては感性という切り口で興味を持つようになりました。

それは・・・

デジタル一色で無機質な外資系企業から転職して、日本の溢れる情緒をPRする仕事についた時に「どうしたら感性を磨くことができるのでしょうか?」と大学の教授に聞いたことから始まりました。

教授はおっしゃいました。


「今ある食器を全部捨てなさい」

「気に入っているもの以外は全部」と。
「・・・・」
「先生・・・そばちょこ1個しか残りません(泣)」

と答えたら、

では、その”そばちょこ”でご飯もみそ汁もパスタも食べなさい。大切なものは丁寧に扱うはずでしょう?そういった日常の振舞から美しい所作は生まれるものです。
自分の眼に叶ったモノ、自分が気に入ったモノに囲まれて生活してみてはどうですか?

なるほど、そうか。

早速、結婚当初に買った間に合わせの食器やら貰い物を全部捨て・・・られずにひとまず押し入れに押し込みました。

すると、なんということでしょう!

食器棚が空になりました・・・。

・・・

こだわりのない食器ばかり・・・というこの事実。笑

という訳で、「ナイ」ものから、すこしずつ焼き物を買い始めました。

広報をやっていた当時、私は日本各地に出張にいくことが多かった。

山代温泉にいけば「九谷焼き」
竹富島にいけば「やちむん焼き」
玉造温泉にいけば「布志名焼き」

などなどの手仕事がされたものを少しづつ集め始めました。

高くて、しかも、世界に一つしかないという認識も加わり、とても丁寧に扱いました。感性が磨かれたかどうか解りませんが、ガサツな振舞はなくなったようで、いずれも割れることも欠けることもなく10年が経過しました。

なにかを得るためには・・
まず捨てる。
新しいモノやコトを手に入れる為の必須要件なのかもしれません。

あの時は、有田焼きのブランディングをやるなんて思いもよりませんでしたが、食器棚がスカスカだったおかげで、楽しくも美しい食器がドンドン増えました。そして、今は、殆どが有田焼で占められる状況になっており、このまま加速する気配がします・・・。

「このお皿は右を向いている鯛、つまり右肩あがりの縁起のよいお皿なのよ」とか「この煮物にはこのお皿のほうが合うね」などと、我が家の食空間はヴィジュアルもコミュニケーションも大層にぎやかになりました。

new_IMG_0216

関連記事

  1. into 磁器産業

    陶器と磁器って違うんだ!

    「磁器」と「陶器」。まとめて「陶磁器」と呼ぶことも。右…

  2. into 地域で頑張る人たち

    ニーズにないものを作るということ

    アートと資本原理は相反すると思います。なぜなら、アートはニーズにないか…

  3. into 私の思考

    あなたを雇う会社はない

    自分の審美眼を信じる2019年11月17日佐賀新聞「ろんだん…

  4. into PR

    へっぽこPR時代(前編)

    母校で「パブリックリレーションズ戦略」の授業の講義をしています。そこで…

  5. into 私の思考

    妙な緊張感で書きました。

    母校の機関誌に妙な緊張感と共に書かせていただきました。お世話になっ…

  6. into PR

    へっぽこPR時代(中編)

    諸般の事情で、突如、5月から母校(SFC)の「パブリックリレーショ…

コメント

  • コメント (2)

  • トラックバックは利用できません。

    • 高木萌子
    • 2015年 5月 07日

    素敵ですね。私も食器の整理をしてみようかなぁと思いました。笑

    • むる。
    • 2019年 2月 07日

    右上のふぐ?のお皿素敵!!

最近の記事

  1. into 有田観光

    焼き物が落ちない理由をチョイと調べてみました。
  2. into 地域で頑張る人たち

    ニーズにないものを作るということ
  3. into 地方の経営者

    1年後に「点」と「点」がつながった。
  4. into 私の思考

    それは、本当に「考えた」か?
  5. into 有田観光

    雪 DE 温泉旅館。
PAGE TOP