諸般の事情で、突如、5月から母校(SFC)の「パブリックリレーションズ戦略」という授業の講師をやってます。
生徒にしてみれば、いきなり登場した人の言うことは聞き難いもの。信頼感という意味で。
そこで、「(ちょっとだけなら)この人の話を聞いてもいいかな」という程度でもいいので、なんとか信頼してもらうために、授業開始の10分を使って、生徒全員にPRでもマーケティングでも、なんなら自分の人生のことでも、なんでも質問を書いてください。分かることは答えるし、わからないことは(そっちのほうが多い)答えを知ってそうな人を教えます、と言いました。

講義の写真。(今の写真がないので三年前の講義風景ですが・・)
質問すらなかったら、マジ、ヤバい・・
先生として認めてもらってないってことが、白日のもとに曝(さら)される訳だから・・
と、イチカバチカの施策に、内心ヒヤヒヤしていたら、全員が真剣に質問を書いてくれました。しかも、何個も。ホワイトボートに溢れるくらいの質問が集まりました。
良い質問がずらりと並ぶ中に、
「広報になるためには、どういった資質が必要/身につけるべきでしょうか」
というような質問も。
それを見たときに、前編にかいた、とあるエピソードを思い出したのです。(エピソードはこちら。読まなくても今回の話は理解できますが、読んでいただけると、より、へっぽこぶりがわかります。)
ここからが、中編の本論です。
丸一日、自分の時間を、私のためか、私の会社のためか、に費やしてくれた(詳しくはこちら)メディアの偉い方。その夜のバーでの反省会。

全然関係ない写真。オープンしたばかりのホテルで行われたショーン・レノンのトークイベント。バーっぽい写真がないので、入れてみました。
偉い方に今回のお礼を伝えた後、
「じつは、私は人見知りなんです。
だから、広報はもともと向いてないんです。今回のことで、つくづく思いました。
ホント、向いてない。心底、そう思いました。」
と、うなだれて言いました。
すると、その人は、
、、、知ってますよ。
一目見たときから、南雲さんは人見知りだなって思いました。
でも、僕は全く困ってない。むしろ感謝してます。と。
・・
へ?
(・・?)
なんでですか?、と聞いたら、
南雲さんは人見知りだから、話しを早く終わらそうとするでしょう? (す、すみません!)
でも、成果も求めてる。
だから、簡潔な打ち合わせになるように完璧に準備してきてくれてる。
ぼくらメディアは、朝から晩まで忙しい。しかも、色々な人の話を聞く立場にある。だから、南雲さんのように、要点を簡潔に話してくれるのは助かるんです。
南雲さん、
広報できてますよ。
と。
思わず、その人の顔をマジマジと見つめ、「あの、べつに慰めてくれてなくても、いいんですよ」
というと、ニコニコしながら、
そんなことしないですよ。いつもはそんな感じなのに、今回は茫然自失で電話してきた。だから、これは、ただごとじゃない、と思ったんですよ。ただ・・・僕も自分でなにやってんだろと思いましたよ。あははは〜〜・・・・
・
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実は、こうなる前から、広報はもう無理だ。この巡業が終わったら、もう辞めようと思ってました。
おしゃべりも上手ではないし、ステキなことも全然詳しくない。
でも、私でもなんとかできるマーケティングのスキルをうまく使えばいいんだ。この方の一言のおかげで、私でもいいんだ、ワタシ流の広報でいいんだと思うことができました。
そのコトバと、着任直後の当時の上司に言われた「PRのノウハウ本だったら、読まなくていい。読んでしまうと、その本を読んだ人と同じレベルの広報になってしまうから」のコトバ。
この二つのコトバがあったおかげで、私は、とてもステキな会社で、八年間、存分に伸び伸びと広報をすることができました。(時には、天誅(てんちゅう)がくだることもありましたYO)
このエピソードを生徒に話をしました。
思うに、広報に限らず、仕事に資質はあまり関係ないと思います。やりたいか、やりたくないか。やるか、やらないか。
やりたかったらやりたい、と、言い続けることも重要。
コトバには力がある。
いいづけると願いは叶う。
道がひらけたら、勇気をだして進むだけかなと。
窯元さんなどの職人さんの仕事も同じではないでしょうか。やるかやらないか。それだけ。できるか、できないか、じゃない。
とはいえ、まだまだ、私のへっぽこぶりは続くのです。